成約事例のご紹介
トヨタモビリティ富山×富山大学
どのような経緯でOcketを活用することになり、どのように連携が成立したのかについてお伺いしましたので、その詳細をご紹介いたします。

お話を伺った方々
-
トヨタモビリティ富山株式会社
- 営業本部 DX推進室長 藤平祥吾 様
- 営業本部 課長 岡田貴侍 様
- 営業本部 営業企画室長 長谷川直人 様

-
国立大学法人富山大学 学術研究 産学連携本部
- コーディネータ 大西正史 様
- コーディネータ 川谷健一 様

インタビュー内容
Ocketへの登録経緯について教えてください。
トヨタモビリティ富山 様(以下敬称略):
当社は主に自動車販売業を営んでいますが、新たな事業として、MaaS(※)アプリ「my route」の普及・推進活動を県内トヨタグループや交通事業者様をはじめとする企業・団体様とともに力を入れています。今年度は特に学校との連携を強化し、地域との関わりを深めることで、関係人口の増加を目指していました。
※MaaS(Mobility as a Service)は、複数の交通手段を統合し、1つのサービスとして提供する概念です。
その中で、どの学校と連携すべきか、また、どのような連携方法が最適かを検討していた際、当社の品川社長が富山商工会議所の副会頭を務めているご縁で、商工会議所の会合で産学連携クロスオーバーシステム「Ocket」を知る機会がありました。品川社長から「営業本部内で試験的に導入してみてはどうか」とアドバイスを受け、Ocketに登録し、活用を検討することとなりました。

Ocketを通じて発信した案件概要について教えてください
トヨタモビリティ富山:
発信した案件は、MaaSアプリ「my route」の普及・促進に関するもので、大学や学生の協力をお願いする内容でした。企業側としては、現時点で提案できるアイデアはほぼ出し尽くしたと感じていたため、大学側からの第三者的なアドバイスや、学生たちの新しい視点・アイデアを期待して発信しました。
案件発信時に工夫した点について教えてください。
トヨタモビリティ富山:
Ocketでは企業名が非開示となるため、案件内容に社名は記載しませんでした。しかし、MaaSアプリ「my route」の概要や目的を具体的に記載し、大学側に私たちの要望が明確に伝わるよう工夫しました。また、協力の形態については柔軟に対応できるよう配慮し、複数の形態を設定して発信しました。

大学から見て発信された案件はいかがでしたか?
富山大学 様(以下敬称略):
発信いただいた案件内容は具体的で、大学側に求められる役割が明確であると感じました。当大学は都市デザイン学部を設置しており、その分野で何かしらの連携が可能であると判断しました。また、学生との協力に関しても、企業との連携が学生にとって貴重な経験となると考え、大学として非常に魅力的に感じました。Ocketでは複数の大学に同時に案件が発信されるため、富山大学としては早期に企業に関心を示したいと考え、発信から2〜3日後には「関心あり」を表明させていただきました。

大学から「関心あり」を受けたときはいかがでしたか?
トヨタモビリティ富山:
正直なところ、最初に「関心あり」の反応を受けて、興味を持っていただけたことに「やったー!」という喜びが大きかったです。 結果として、富山大学様以外にも複数の大学から「関心あり」をいただくことができました。その中には他県の大学も含まれており、予期しなかったところから反応をいただけたことに驚きました。 最終的には、案件を発信して1ヶ月以内に「関心なし」も含めて5つの大学から関心表明をいただくことができました。

大学との交渉はどのように進みましたか?また成立した大学の決めては何ですか?
トヨタモビリティ富山:
「関心あり」をいただいた大学には、発信した案件のどの部分に関心を持ったのかを尋ねる形で、全ての大学とチャットを開始しました。チャットを通じて、大学ごとに様々な提案をいただくことができました。 Ocketを使っていく中で、複数の大学とチャットにて並行して交渉できるのは非常に良かったです。 最終的には、地元でのMaaSアプリ「my route」の普及という点からも、地元の富山大学様との連携が決まりました。ただ、決め手となったのは、最初に「関心あり」を示していただけたことが大きかったと思います。

今後どのような形で連携を深めていく予定ですか?
富山大学:
Ocketで発信された案件は、連携のきっかけだと考えています。 今回発信された案件については、今後さらに連携を進めていく予定です。それとは別に、地域活性化に関する事案についても、大学側からご相談させていただいており、今後も相互に連携を深めさせて頂ければと考えています。

Ocketを利用して良かった点を教えてください。
トヨタモビリティ富山:
一番良かった点は、教育・研究機関に一斉に情報を発信できることです。 Ocketがなければ、各機関を一校ずつ訪問する必要がありましたが、複数の教育・研究機関を個別に訪問するのは現実的ではありませんでした。その点、Ocketを活用することで一斉に発信できるため、産学連携を始めるハードルが大幅に下がったと感じています。 企業活動では、新規事業などで既存のノウハウだけでは対応しきれない場面も多くあり、その際、外部から技術や知識を取り入れる必要があります。今回Ocketを使用したことで、こうした場面でも今後積極的に活用できるのではと感じました。
それぞれの立場から感じる産学連携のメリット・魅力を教えてください。
トヨタモビリティ富山:
教育・研究機関が持つ専門知識を新規事業に活かせる点が大きな魅力です。 企業はどうしても企業人の視点に偏りがちですが、学生や大学から新しい発想やアプローチを学べることが、産学連携の最大の魅力だと感じています。 また、大学から企業に相談いただく案件に対応する場合でも、新しい領域や最先端の研究に協力できる点も企業にとって大きなメリットだと思います。 産学連携を通じて、双方が成長できる関係を築ければと思います。
富山大学:
富山大学では、企業のニーズに合わせて研究を調整する「ニーズオリエンテッド」の方針を採用しており、この取り組みによって研究者の視野や活動の幅が広がると考えています。 企業と連携することで、大学が行うさまざまな研究成果を事業化し、社会に還元していくことが可能になるため、企業との連携は大学にとって必要不可欠だと考えています。 また、学生が関わる産学連携の案件は、人材育成の観点からも学生にとって大きな成長の機会となると考えています。 今後も、多くの企業と連携を深め、より多くの成果を社会に届けていきたいと思います。

本事例が北日本新聞で紹介されました。
本事例が北日本新聞 2024年 12月26日付 朝刊にて紹介されました。
以下に紙面内容を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。